非常に直線的に進んできた僕の大学生までの人生を、結果としてやや斜めに逸らすように転換したのが、オーストラリアでの、というか僕にとって人生で初めての「就職」だった。小学校・中高・大学のどれよりも長い期間を過ごしたその場所を出る、ということはそれ自体がなかなかのできごとだったと思う。ちなみに転職の「仕方」、および転職先としては、オーストラリアでは普通であり、特段珍しいことではない。それが第三者に起こっている限りにおいては。
ここしばらくで下した比較的大きめな決断としては、それこそオーストラリアで就職(移住)、結婚、自宅購入などがあるのが、それらの決断と比べると異色の決断だった。通常、大きい決断ほど決断に時間は使わないのが常だった。オーストラリアに交換留学に来るときも、こちらの会計事務所で働くことになったときも、結婚も、自宅購入も、全部ほぼ迷いなく直感で決めた。直感というのはあまり適切な表現でなく、「損こいても大勢に影響を与えないことはないだろう」という信じることができるのが容易かった、というべきなのかもしれない。
いや、これも適切でないかもしれない。少なくとも結論は比較的簡単に出ていた気がする。つまり、自分個人としてはもっとも適切な解はこれである、ということ。だから、あまり考えることはなかった。むしろ、考えたのではなくてよく悩んだ。自分以外の人間関係、利害関係が関わるため、どのように、どのようなインパクトで周りの人たちに影響を与えるかクリアじゃなかったためだ。自分の人生だから自分の生き方は自分で決めるべきだし決めることができるべき、とは理解できるものの、自分の生き方が第三者に与えるマイナスの影響は最小限にする責任は当然ある、、、。何よりも今まで築いてきた人間関係を壊すことがあったらいやだ、というまさに二兎を追う自分。
続く。